自己破産は債務者自身でも書類の作成方法や手続の進め方さえわかれば行うことができます。
しかし、破産を経験した人の大半は、弁護士か司法書士にお金を支払って事案処理を依頼し、法的に瑕疵が無いようにして債務整理をして再出発をしています。

自己破産の事案処理における弁護士と司法書士の最大の相違点は、代理権の有無です。

代理権が認められているのは弁護士で、裁判所に破産手続開始の申し立てを行う段階から、免責許可の決定が確定するまでのすべてで関わることができます。
申立人となる債務者は、法律事務所に行って代理を依頼すれば、手続が行われている間は裁判所で行われる審尋や債権者集会に出席すれば良い程度で、債務者が自らすべきことはほとんどなくなります。
また、申立先の裁判所で即日面接制度が運用されていれば、申立書類を提出したその日に、裁判官と代理人の面談を経て破産手続開始の決定を受けることができるため、自己破産の手続きに要する期間を1ヶ月以上短縮させることができます。

一方、司法書士は簡易裁判所の訴訟代理権は認められているものの、その他の裁判所では代理人をつとめることはできません。
そのため、自己破産の事案処理では、申立書類の作成代理人として関わることはできますが、審尋や債権者集会の場に同席することはできず、申立人自らの力で乗り越えなければなりません。
即日面接制度のメリットも受けられないため、一連の手続きが終了するまでに長い期間をかけなければなりません。

しかし、司法書士に依頼することにもメリットがあります。
それは、報酬として支払う費用を安く済ませられることです。
どちらに頼んでも着手金と報酬金を支払わなければなりませんが、弁護士の場合は両方合わせて40~60万円程度かかるのに対し、司法書士だと20~40万円程度で済むケースが多いです。
ただし、これはあくまで報酬として支払う費用のみを比較した場合の話であり、他の費用を含めた総経費については、管財事件になった場合だと、申し立てることで少額管財事件として取り扱われる可能性がある弁護士の方が安く済むケースがあります。
これは、管財事件だと必要経費に予納金が少なくとも50万円上乗せされますが、少額管財事件になれば上乗せされる予納金を20万円まで抑えることが可能となるためです。
この30万円の費用の差は自己破産をしようとしている債務者にとってはとても大きなものであり、免責許可が確定した後の生活基盤の再建をより容易にします。