自己破産の免責が降りると、債務の返済義務がなくなるのでお金の面でも気分的にも一気に楽になれます。
しかしそれだけではありません。
債務の返済義務がなくなる代わりに自分の所有している財産は処分されてしまうことになります。

不動産や貴金属の場合には競売などにかけられて、そこで得たお金は債権者に分配されることになります。
これだけ見ると、ドラマや映画でやっていた「家の中のものをすべて持っていかれてしまう」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはそれは間違いです。
処分されるものは一定額以上のものと決まっているため、借金の返済から逃れることが出来た代わりに一気に家の中のものをすべて失ってしまうというわけではありません。

自己破産の免責が降りると、不動産や貴金属、家電などの中で20万円以上の価値があると思われるものは全て没収になってしまいます。
「生活の中で必要なもの」と20万円の価値がないものに関してはそのまま手元に残すことが出来ます。
ここでいう財産にはお金も含まれていて、99万円を超える現金は全て処分することになります。
99万円という金額は一般的な家庭が3か月間生活していけるだけの金額とされていて、当面の生活のために必要なため手元に残すことが出来ます。
預金に関しては20万円まで残すことが出来ますが、それ以上の預け入れがあればすべて没収となります。
また、これらは自己破産をした本人の財産に限られるので、家族の名義のものは関係ありません。
しかし「子ども名義の積立を親が行っていた」というような場合には口座の名義が子供であっても積立ていたお金を入金していたのは親となります。
その親が自己破産をする場合には「親の財産」とされますので処分の対象となってしまいます。
どうしても子供のために残したいという場合には「自由財産の拡張」を行うことで残すことが出来るケースもありますが、弁護士としっかりと話し合いをしておく必要があります。

「じゃあ、申し立てを行う前に自宅の名義を変えたり、現金を引き出しておこう」と考えるのはちょっと待ってください。
手元に残せるだけ残そうと預金などの調整をしてしまうと、場合によってはそれが問題となって自己破産自体が出来なくなってしまう可能性があります。
債権者からすれば、それらのお金は本来自分たちに対して返済されるお金だからです。
自分の考えだけで行動してしまわずに、まずは弁護士に相談、確認をすることが重要になります。